無理に前を向かなくていい。
ここでは、立ち止まっていい。

小脳出血という現実|母が脳卒中で倒れた日⑤

①あの日(出来事)

▼前回の記事はこちら

6時間に及ぶ開頭手術の末、
母はなんとか一命をとりとめました。

朝、突然「倒れた」という知らせを受け、
東京から急いで青森へ駆けつけ、
何が何だか分からぬまま
手術室の外で母を待った一日。

「助かった」という事実を前にしても
全身のざわめきはおさまりませんでした。



安堵の息をつく間もなく、
17時30分。

主治医からの説明が始まりました。

今でもはっきり覚えている言葉を、
ここにを記しておこうとおもいます。

母の病名は

小脳出血(中等度~重度寄り)。

小脳出血は、脳の後ろ側(小脳)で起こる出血です。
母はこの部分で出血していました。
小脳出血は、脳の後ろ側(小脳)で起こる出血です。母はこの部分で出血していました。
※出典:横浜新都市脳神経外科病院サイトより引用

搬送された時点で
既に呼吸は弱くなっていて、
出血の範囲も広い状態だったそうです。

このまま進めば
脳幹を圧迫して命に関わる。

そんな状態でした。

手術によって、
出血した部分は取り除くことができた。

そう説明を受け、
実際にレントゲンも見せてもらいました。

ただー

後遺症は、必ず残る。

そう、はっきりと言われました。

幸い、知能に関わる部分には出血はなかった。

ただ、小脳は
体のバランスや運動機能を司る場所。

つまり、

「動くこと」に関わる機能
影響が出る可能性が高いということでした。

・手足のしびれ
・めまい
・ふらつき

「次に目が覚めた時、お母さんはぐるぐる回っている
世界にいるかもしれません」

そう言われました。

そして、
何も知らなかった私は
思わず聞いてしまいました。

「先生。これって運ゲーですよね?」

お母さんが倒れたのは、
運が悪かったんだ。

すると先生は、
少し強い口調で私に言いました。

「運ではありません

「一部の疾患を除いて、
生活習慣以外に原因はありえません」

脳出血の主な原因
  • 高血圧(最も大きな原因)
  • 喫煙
  • 飲酒

母は、そのすべてに当てはまっていました。

「お母様が悪いという意味ではありません。
ただ、間違いなくお母様の生活習慣が原因です」

更に、

「見たところ、心臓も血管もあまり強くないようです」

そう続けられました。

ただただ憂鬱でした。

だって全部絶望じゃないですか。

そして、ようやく私達は理解しました。

なぜあの時
何度も何度も

「本当に手術をしますか?」

と確認されたのか。

「お母様は、確かに助かりました」

「でも、これは“助かった”というより
“生かされた”、という状況なんです」

「ここからが大変です」

「一番つらいのは、お母様だと思います」

歩けないかもしれない。
寝たきりかもしれない。
一人で何も出来ないかもしれない。

それでも手術をしますか?

そんな意味だったのだと、
ようやく知りました。

手術で取り除かれた脳の部分は
元に戻ることはありません。

空白のまま残る。

その状態から
どこまで回復するのかは分からない。

必死にリハビリをしても
どうなるのかは医者ですら分からない。

そしてもう一つ。

病状が安定するまでの間も、
命に関わるリスクは続くということ。

私たちは、峠を越えたのだと思っていました。

でも違う。

本当の闘いは、ここからでした。

喜ばせてくれない現実。

私たちはこの日、
紛れもなく「人生の岐路」というものを
この目で見たのだと思います。

あの瞬間、
もう二度と笑えないのではないかとさえ
思いました。

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